始章



明日が消える呪文を かけられていた

わたしは何もかも 知っていたの

あの日の星めぐり またいだ月が


戻って来た と

じっと心閉ざして

まばたきを止めて

そんな夜に抱かれる夢

誘いを巻いて逃げて来たと


三日月が自分にくるまった形の満月

そよそよそよ と

そよそよそよ と

戻って来た と


暖まっておいで

私の描いた胸の絵中で

恐れられていた季節は

またなお新しい


冷ややかでも

君は

舞い戻って来る優しい

粉雪


溶けた氷柱から

出ておいで


ついて来て

わたしの隣を

何もかも知っている わたしの隣を

















 by   mito-rino  2011 / 11/ 28 /