終章

わたしがよくありますように
みながよくありますように

そこに在ると教えてくれたら
まっすぐに飛んでいく
迷わない印を付けてくれたら

いつのまに翼が形を現し
わたしを軽々と救い上げてくれる
身体には確かな感覚が生まれ

確かというのは知らなかった
新しいものだと知らなかった
まだ目にしたことのない世界とは

わたしの目は閉じておらず
わたしの肌は強張っておらず
わたしの身体がそれと重なり逢い

もたれ掛かっても咎められず
握り返してと乞うても断られず
その体温がわたしのそれと温まる

そこに在ると伝えてくれたら
まっすぐと元どおりになる
そぐわない衣を脱ぎ払いながら

繭から孵った蝶になれる


寿命を尊い無力を悟り
鏡に映らぬ姿をたゆたい

ありがたき

余り無い命の道を全うできる

包まれてはくれまいか


それ



わたしがよくありますように
みながよくありますように

みなみなと並ぶことはできぬのか

応えてはくれない


それが




それも



















 by   mito-rino  2011 / 11/ 28 /