何も望むものがないような
朝には目が冷めた覚えがあり
こんなにたくさん求めている

誰に望むことがないのです
夢では雲を踏みしめる感触が残り
これほどにしたいことがある

悲しいことに余っていない
時間は競り合い声をかけながら
流れる面は漕いだ後から凪いでいく

嬉しいことに手繰れない
別れは揺るぎなく手応えを湛え
真新しい明りを優しげにくゆらす

寂しいことに寄越して来ない
言葉は手紙に注した白々しさを消し
焼いた側から空を差し出している

もう望むものがないような
朝には目が冷めた記憶が横切り
これほどにこれからを求めている

誰にも望んだりすることがない
夢では柱に触れ親しんだ感触が甘く
これほどにしたいことばかりある

城は建ち塔に続いている

階段はゆっくり近づくため

ゆるやかにひとつづつある













 by   metoeruri  2012 / 05/ 13 /