坂を上り駆け降りたまっしぐらに
かなぐり捨てられるための痛みを

乾いた痕を黄葉に注す光がかわし
デリカシックな傷袖を風がなびかし

密やかなポーズが誰にもみつからない
場所を探してもどこにもみつからない

なだらかな丘が木犀の香りをまぶしかける
一夜だけの記しをこの月景色に焼き込ます

君だけに届けたくない
僕だけが流す涙の

水元

君だけに差し出したい
僕だけが堪りかねた

熱表

君だけに向き合いたい
僕なりままに顕れる

切情

敵わない
立ちはだかる
君だけを待ち受ける
僕はまた嵐になろう














 by   mito-rino  2011 / 10/ 19 /