見えない気球がゆっくり

僕だけにお別れをして

誰にも届かない手紙を

運び終えた旅を続ける

ビルの谷間を背景に歩くと

不思議な気持ちになって

見えない気球はやがて

僕だけがお別れをして

誰にも書かれない言葉を

消し終えた旅を始める


泣いた記憶は夢の中のことで

切れない気持ちが生まれて

見えない気球の脈拍で

僕の身体は繋ぎ留められ

僕が涙を堰き止められ

渋ってみてから目を閉じると

強引な情火は洗われて

見えない気球の軌道が

青いっぱいの空で埋められている

黙ってままに目を閉じてると

見えない気球はゆっくり

僕だけに挨拶を交わし

君にだけ見せるお別れを

届け果たした旅を終う














 by   metoeruri  2012 / 02/ 14 /