真夜中の白いセンターライン
親切なドライブが薄い未来に向かって滑る

無理してなきゃ生きていけない
無理してなきゃ笑ってられない

どなたか判子を押してくれたら
素直に後戻りもしてみたいのに

浅い眠りに連なる肩の荷物
律儀を保つ挨拶には色めく返事も当たらない

壊れてなきゃ生きていけない
壊れてなきゃ守っていけない

どなたか背中を押してくれたら
不意のドアを叩く勇気も湧くのに

私が抱き寄せるのは歌枕
潰さないように緩く乗せる

私がそれ温めるのは歌枕
見透かされないよう乾かす

私が身をまかせるのは歌枕

粉々に砕けていけない
ばらばらに差し上げられない

蒸発する直前の
熱気を帯びたあの
涙の重みのまま


受け取った誰か証明をちょうだいよ

赤く尖った月が気取って
皿を片付けに入っていく

西の明け方の空
















 by   mito-rino  2011 / 11/ 06 /