□ up  2007/ 11/ 01 □   






           「アルプスの少女ハイジ」
               原作:ヨハンナ・スピリ



                 スタッフ


          場面設定・画面構成/宮崎駿
               作画監督/小田部羊一
                 音楽/渡辺岳夫
                 脚本/吉田義昭 大川久男 佐々木守
             シリーズ構成/松木功
             プロデューサー/高橋茂人
                  演出/高畑勲

                  企画/瑞鷹エンタープライズ

                声の出演/

                ハイジ:杉山佳寿子
              おじいさん:宮内幸平
               ペーター:小原乃梨子
        ペーターのおばあさん:沼波輝枝
                 クララ:吉田理保子
          クララのおばあさま:川路夏子
          クララのお医者さま:根本好章   
           クララのお父さま:鈴木泰明    
         ロッテンマイヤーさん:麻生美代子
              ナレーター:沢田敏子
           その他の声優さん/
              ブリギッテ:近藤高子
             セバスチャン:肝付兼太
               チネッテ:つかせのりこ
                デーテ:中西妙子
              トマスさん:矢田耕司
    シュトラウルさん、パン屋さん:峰恵研
    オルガン弾きの少年、村の子供:野沢雅子
            パン屋の奥さん:山本圭子
              学校の先生:山田俊司
           郵便屋さん、ほか:はせさん治
              ほか、たくさんの方々です

                 製作著作
              瑞鷹株式会社(ZUIYO)











  アルプスの少女ハイジの計52話のあらすじを、
 個人的な印象と感想を交えて書き下ろしてみました。
 ですから、かなりネタばれありの内容になっています、
 あらかじめ未見の方はご了承ください。
 編集中のものも、随時書き足していきますので、
 よろしければ読み進めてみてください ・・・
 + + + + わたしのハイジ観察・キャラクター豆知識 + + + +    

■ハイジの口ぐせは?・・・・「わーい、わーい」「ねえ、おじいさん」「素敵ー!絶対よー!」
                         ■ペーターの口ぐせは?・・・「まぁっ・・・いいや〜」「ちぇっ」「僕そんなに食いしん坊じゃないよ〜」
        ■おんじの口癖は・・・・・・「さ、どんどん食べなさい」「それで転んだんだね」
     ■おばあさんの口癖は・・・・・・・「なーんてやさしい子だろお」「本当に神さまのおかげです」  
     ■クララの口ぐせは?・・・・「また、山のこと考えてるの?」  
  ■おばあさまの口癖は・・・・・「・・・クララ、おまえ、、、」  
  ■ ヨーゼフの癖は・・・・・・目つきと尻尾フリフリでご機嫌いかが 
    ■ ユキちゃんの癖は・・・・・・ハイジのスカートを引っ張っておねだり   






 第1話 アルムの山へ 


さぁ、ハイジに会えるんです、いつもときめく第一話です。

オリジナルの原画に最も近いハイジの顔が最初に登場しますね。
そして、 このスタート場面の最初の音楽※は、この回のこの時だけ流れる素晴らしいものです。→(訂正:ハイジが初めて山の上の牧場に到着し、そびえたつ山々を見やる場面、にも流れていました。(09/10/15)

早朝の町並みが映り、鶏の鳴き声が聴こえると、さぁハイジが映ります。 着膨れしているとは、この時はまだわかりません。 鶏を首をかしげて観察したあと、ハイジは馬車の音に振り向いて、軒下をキョロキョロします、 (あとで、ピッチーの声を聞き分けたハイジがとても耳の良い子だとわかるのですが、この時はそうではないですね) 「ドードー」と馬車は停まり、おじさんがハイジに話しかけます。
 そう、ハイジの最初の台詞は「叔母さんを待ってるの」。 もう初夏だというのに、叔母さんのデーテは荷物になるのを嫌がり、ハイジに 赤いケープをかけます。「暑い・・・」この時の声もまだ本当に幼い幼児の声ですね。 この時だけ登場するおじさん「トマスさん」は私の好きなキャラクターです。 「あっちへやられたりこっちへやられたり・・・ふぇー」 このふぇーというため息にトマスさんの人柄も村人たちのお付き合いの親密さも表れているのです。 こうして、マイエンフェルト(という村の名前さえハイジは知らない)から、デルフリに続く長い坂を二人が上って行きますが、ハイジをせかす叔母さんをよそに、転げたハイジはバッタに好奇心満々の顔を見せます。 「暑いのー」そりゃ暑いだろうと思います。ぶくぶくになった子どもの手を引いてデーテは言います。「ほら、あれがハイジが生まれたデルフリ村よ」「あたしが生まれたの〜?」 いよいよハイジの愛する山の麓まで到着するのです。

デーテが山の上に仙人のように住んでいるおじいさんの所へ孫を預けるという提案に、村人たちが、やんやと噂交えて反対を唱えていますが、ハイジは、ここでユキと出会います。 そして、水をブルブルッと撒き散らすユキに、ハイジが初めて笑い声をあげますね。 村の噴水をあとにして、またもや達磨さんのような真っ赤なマント姿のハイジは、えっせえっせと、デーテに引かれて行きます、と、ここでペーター登場です。かなりの寝坊をやらかした朝だったようで、山羊たちが集合している村めがけて突進するように小道を下るペーターにハイジは突き飛ばされるように 転びます。いつものペーターの時間とは随分遅れていたことがあとからわかりますね。 そうして、ハイジはバルベルおばさんと話し込む叔母さんをよそに、 ユキの鳴き声に振り向き駆け寄ります。 そう、ペーターの最初の台詞は、「・・・ユキー!」です。 無口なたちのペーターは、ハイジのかけた言葉にも、いつもの暢気な態度で 山羊のもとへ戻っていきますが、ハイジは好奇心一杯で積極的な性格を持つ小さな顔を覗かせながら、どんどん質問攻めをしていきます。 「よそのさー」というそっけない返事に、その後のペーターの性質が表れています。
こうして、山羊の群れと少年に追いつけなくなった着膨れのハイジは、 とうとう我慢しきれず、頭巾を脱ぎ、靴下を剥いで、下着姿になって小躍りしながら、アルムの山の峰の草原を駆け上って行きます。 原作のとおり、すっかり裸のようになった小さな女の子をあらためて見たペーターは、その口を顔いっぱいに一文字に広げ、うひゃひゃと笑い、ハイジも笑います。この時のペーターのノリの良さが少々不自然ではありますが、おそらく幸福ではあってもやはり退屈な毎日を送っていた山羊飼いの少年にとって、少女が一人で峰を登って来たことになんとなく理屈もなく喜んで、得意のアクロバット並みの早業で身体を回転させたりジャンプしたり、二人でおおはしゃぎします。これから何度も繰り返される山羊の踊りのシーンもこの場面で初めて登場するのです。 ペーターの家の前でバルベルおばさんと別れたデーテは、お小遣いでペーターを働かして、いよいよおじいさんの小屋に向かいます。 なかなか原作に沿って、第一話は進んでいますね。 一番に小屋に着くのは、ハイジ。「こんにちは」ちゃんと挨拶のできる5歳の少女は、きちんと背を伸ばして、おじいさんに手も差し伸ばします。

いよいよ、おじいさんとの対面。 「ふーん、これはまたいったいどういうことだな」これがおんじの第一声です。 この時、おんじがベンチに腰掛けていたのは、まぎれもなくペーターがあまりに遅かったからなのですが、その当事者のペーターは、おんじが恐いのに相変わらずのんきです。この時はまだ(というか、ずっとペーター一家はそうなのですが)村人たちとは少し山の上に住みついているせいか、おんじの生活ぶりを垣間見る機会があり、その小屋を人が訪ねて来たのですから、少しは関心が湧いたのでしょうね。しかし、おんじに一喝されて、とっととペーターは仕事を開始します。 そして、おんじの足元に、そう、ヨーゼフがいつものとーりの恰好で寝そべっています。「しっ、しっ」とかわいい手で犬を牽制するハイジの仕草は可笑しいですね。 ともかく、なにかわからない理屈を述べたデーテを追い払うことに成功したおんじでしたが、残されたのは、小さな小さな裸ん坊の女の子。うーーーむとパイプをくわえて黙りこんでしまいます。 「小さな山小屋におじいさんとたったふたりきり、これからハイジはいったいどうなるのでしょう」というナレーションで次回に続きます・・・。






 第2話 おじいさんの山小屋

デーテとおじいさんの喧嘩については、私はこう感じています。
デーテの主張しているつもりの内容は、4年間大変だったということ でしょうが、話しはおじいさんを怒らせる内容なのですね。 大変だったけれど、働きに行かなければならなくなった事情があるから 、かわいい孫娘(デーテにとっては姉の忘れ形見)の世話を頼みたい、 5歳のわりには利口でもあり、人見知りもしないで面倒みのある子なのでよろしくお願いします〜と 言えばいいものを、まるで自分は迷惑をかけさせられたような話しに持っていくもの だから。おじいさんは、その点をすぐに見抜いてしまったからこそ、 そんな気持ちで育てて来たものを、何だと〜!と返してみたくもなったのです。 気持ちの問題で、将来にもデーテの価値観とおんじがぶつかる兆しが、 この場面にはちゃんと予想されているのです。 おんじは、世話をすること自体にはまだ何も考えもしていないのに、 まるで、嫌がるのが当たり前のような言い方をしたデーテに腹を立てたのは、 孤独を選んだおじいさんの人生の深い部分の何かに、抵触したからなのですね。

 さて、そんな大人の言い合いも終了したことをいいことに、さよならとおばさんにあっけなく挨拶をし終わった ハイジはおじいさんを恐がることもしないで、 さっそく小屋の周りを探検して歩き、たどり着いた樅の大樹の根元に立ち、わぁーと小さな声にならない声を あげて、その不思議な梢の音に聞き入っています。 おじいさんが、おじいさんのままでいるのも、もう少しの間だけです。

「さーて、これからいったいどうするつもりだ」と愛想のない声をかけますが、 返って来た答えは、「おじいさんがお家の中に持ってるもの、見せてよ」。
何故か、さっきまであどけないような顔をして草を蹴っていた少女も、小屋に入って観察する間に、 随分と大人っぽい視線を見せます。 身長が10センチも伸びたようにも見えます。 5歳の女の子が、草の匂いに魅せられる器量を持ち合わせているかの真偽は わかりませんが、この物語のハイジは、おじいさんにシーツを持って来てと、 てきぱきと自分の寝床を作るのに真剣です。 さすがのおじいさんでも、そのまっすぐな一本気に気押され、掛け布団を裂いて作って掛けてくれます。 「どうだな、ハイジ」「わー、素敵、素敵、ほんとに素敵な掛け布団だわ」とパチパチ手を叩いて嬉しい表情を見せます。 「そうよ、王様だって・・・」「そうだとも。ここは王様のお城なのだ」。なのだー、と言われてしまいますが笑、 この時のおんじは、まだまだ口数の少なかった孤独な老人の横顔を消し去ってはいません。 「雨の日は、ものを考えるのにもってこい、人間にはそんな日は必要なのだ」。なのだ、と言われてしまいますが、 そうなのだ。 「あたし、雨は嫌いよ」と返すハイジ。 さぁ、ここで物語が動きます。観ているお子さんも凝視しておじいさんの言葉を 待っています。 おじいさんは・・・「わ〜ふわっはっは」と大笑いします。「そうだとも、そうだろうて」。
おんじ節の始まり始まりですね。孫と祖父が一緒にわははと笑い合います、 丸い窓から顔を覗かせ、早く夜にならないかなーというハイジに、 おじいさんはお昼にしようと提案し「意見が一致したな」と一緒に梯子を 降りていきます。 おなかがすけば、女の子も子どもです、それをおじいさんはよーく知っているのです。

このお昼の場面で登場するのが、あのトロけるチーズ。どこにも売っていない おんじオリジナルの文字通り手製のチーズを、串刺しにして火で炙ると、 ハイジも唾が垂れるほど、芳しい匂いを放ってチーズが温まります。
本当にあのチーズには、子どもの頃憧れました。山羊のお乳を一気飲みしたハイジを見て、 「山羊の乳は身体にいいぞ、もっと飲みなさい」と注いでくれるおじいさん。 、、、そして犬の登場です。 テーマ曲も、この時がはじめましてです。「コロ、コロ」と、とんでもない名付けをして呼ぶハイジ。 犬はコロというものだということなのでしょうが、ヨーゼフという本名を知ると、 さっそく声をかけますが、なんとも無愛想でマイペースなヨーゼフは、しっぽで戸を閉めて 出ていっちゃいます。

ごちそうさまをしたハイジは、今朝まで預けられていた場所のことなど忘れて しまって、蝶々を追いかけ崖の隙間に落ちたりしながら、草の上をはしゃぎ回ります。 涼しくなるぞーというおんじに言われて服を来たハイジの登場です。
おじいさんは何をしているんだろう?「さーて、なんだろな」おんじの「さーて」が始まりました。
「こんなに脚が長いんだもの、あたしの椅子よ、ね、そうでしょう、おじいさん」 手馴れた大工仕事で椅子を仕上げたおじいさんに手渡された椅子。あたしの 椅子よー、あたしの椅子よー、とスカートを翻して喜びます。 椅子で存分に遊んだハイジが、お乳を搾るおじいさんに「ねぇ、これから何するの?」と聞きますが、 「もーなんにもなし!」。アルムに夜の帳が下り、村の鐘が鳴る頃には、 もうあたりは暗くなりました。 ペーターとユキちゃんを見送ったハイジは、こうしてアルムのおじいさんの山小屋で 初めての夜を迎えます。 自分でこしらえたふかふかの干草のベッド。どんな寝心地で、いったいどんな夢を見たのでしょう。 「あの子、恐がってやせんかのう」と心配して上に上ったおじいさんの目に、 すやすやと微笑みながら眠る孫娘の寝姿が映ります。 ナイトキャップ姿のおんじもキュートではありますが、この時のおんじの目は、 デーテおばさんを怒鳴った時のような厳しさの陰りもなくなっていましたね。 おやすみなさい、ハイジ、おじいさん。続く


 



 第3話 牧場で     (07/10/28記)


「そうだわ!あたし、おじいさんのところに来たんだわ!」いきなりお目目がパッチリなちょっと輪郭 くっきりのハイジがベッドの上で目を覚まして、開口一番に言い放ちます。 外からは、「今朝はいやに早かったな」「寝坊しなかったもん!」というおんじとペーターの会話が聞こえ、 いつもの朝に、ハイジという新しいメンバーが、いつ顔を出してくれるかという緊張感と興奮の 入り混じった、ただならぬ雰囲気が演出されていますね。

ペーターよりも先に、昨日に続いて真っ先にユキちゃんに挨拶しに駆け寄るハイジ。ちゃんとペーターに おはよう〜と声をかけるのですが、ユキちゃんの方からスカートを引っ張ったのです。 ハイジが自然に溶け込む前に、もうすでにかなりの動物生き物好きな性質を物語っています。
おじいさんに言われて、お天道様に笑われないように顔を真っ赤に洗って拭いたハイジは、行ってきますと 元気に出発します。そう、ペーターの口笛とともに、山羊の群れに混じって初めて山小屋よりも「うえ」に 行くのです。

この牧場行きのいきさつの解釈について、いつも少し戸惑うのです。〜というのは、 まだ、まともにおじいさんと「家族の」会話らしい会話をしていないのに、 おんじは、「どうだ、お前も山羊と一緒に上へ行くか」とほったらかし。すごく放任的なこういった一貫して始終変わらない態度は、その後クララを山に迎え入れてからも現すふれあいにも表れる、おんじ独自の「人突き合い」「ひと着き愛」とでもいう処方とポリシーが 芯に通っているように思います。人里では馴れ合って慣習になっているいわゆる 「普通な」ひとづきあいとは一線を画しているわけなのです。そうなのだ。
そう納得できるわけなのだ。〜

さて、ハイジとペーターの初めての山登りの場面なのですが、途中、小さい丸木橋を渡ったり、 二人の身体くらい大きな岩の間をペーターのフォローで懸命によじ登るカットがいくつもでますね。 この日だけは、(お花を摘むことになっているので)ハイジは起きた時から白い前掛けを結んでいますね〜 そして、ハイジ自身はそれを予想もしていなかったのでしょうが、 突然、目の前に、黄色や青や赤やオレンジや紫や白い花花が、峰一面の野原に咲いてじゅうたんの ように広がっている風景が目に入って来て、ハイジはわー!という声とともに、そこいらじゅうの花の間を 駆け回り、山羊たちも一斉に踊りだしてペーターを汗だくにしてしまいます。 「出ておいでよー」「・・・こ こ よーー」 このこ・こ・よーの声が私はとっても好きですね、なんでしょうね。 「ハイジったら山羊たちより道草食うんだから」「もうおやめよー」 ペーターにとってはやたら台詞が長く続くめすらしい場面のひとつであります。 「もっと上だよ、上にはうーんと長生きしてる鷹が住んでいるんだぜー」 〜だぜー!というのは どうやら男の子らしい語尾ですが、彼の口癖でもあります。 「大ーおきな角のだんなや、すごーーくかわいいのなんか、見たくないのか〜!」 やったらしゃべって働くペーターの誘い。少女の関心をうまく弾き付けるんですよね。 これは効きました! ようやく花を摘む手を止めたハイジは、「明日にはなくなっちまうじゃないか」と言われても止めなかった 花集めをようやく切り上げ、 上を、そう上を目指します。

そうして、二人して笑い声をあげながら、頂上が見えて来ますと、 私たちの胸も弾んできます。 とうとうハイジはまた言ってくれるのです、私たちの代表として! 「まぁーー、すてきーーー」 そうしてファンファーレとともに、周囲360度のアルプスの風景が映し出されます。 残る雪を頭に乗せたとんがり山、深遠な喉元をあけて静まりかえる渓谷、その上にゆったりと流れゆく雲、その 白さと白さの競争。晴れ間に合えば、谷の向こうには、かすかに赤い民家の屋根や教会の塔の先が見えています。 そんなに遠くまで人間の目で見えるものなのでしょうか。 ハイジの心のカメラでぐるりと天のもとでの自然の息吹が披露されると、今度はハイジの顔のアップです。 「わー、食べたい」と雪を見下ろしてハイジは言いますが、 私は、あの深い谷は、どうしても実際に見下ろす勇気はありませんね、この時にこの小さな少女が 高所に恐怖を抱くことのない強い?心臓を持っていることがわかってわかり果てます。 先刻、しゃべり過ぎたこともあり、早々と寝息を立て始めたペーターをよそに、 ハイジはどうしても、山カラスではなく、鷹を見てみたいとうろうろ歩き回ります。 なんと、この子は、またもや、細い枝に乗っかって、落っこちることなど関係ない世界に 生きているかのような行動に出ます。 そこへ、”知らない顔じゃーないか”とでも挨拶するように、老鷹の襲来です。 枝が折れて、山の頂から外れてしまったことで、ようやくペーターの名を叫びます。 「ふぁー、びくりした」と目を細めて、胸を撫で降ろすペーターの顔がすごく可笑しいですね。 本当にびっくりしたと思います、いきなりあっちこち、転落死へのジェットコースターのコースが あるところを女の子にウロウロされてしまって・・・ おんじの「ハイジが岩から落ちたりしないように、気をつけるんだぞ、ぞっ、ぞっ(共鳴)」・・・という声が頭にガンガン響いていたことでしょう。 ・・・というのことをじゅうぶん知っているのでしょうね、(山羊が落ちたこともあるのかしら?) この時の二人の会話も、とっても微笑ましいです。 「あんな高いところにお家があるの。見に行こうよ。」とんでもありません。 馬鹿だなーと、このときばかりはペーターも威張れます。 「大角の旦那衆は、別だけどな(ポリポリ=手でシャツをめくってお腹を掻いているのです)」 いよいよ、お昼にしよっ!と大将は言います。
続く・・・・

  編集中




 第4話 もう一人の家族



  編集中




 第5話 燃えた手紙



  編集中




 第6話 ひびけ口笛



  編集中




第7話 樅の木の音 (2/17日放送)






  編集中




第8話 ピッチーよどこへ (2/24放送)



  編集中




第9話 白銀のアルム (3/3放送)



  編集中




第10話 おばあさんの家へ (3/10放送)



  編集中




第11話 吹雪の日に (3/17放送)



  編集中




 第12話 春の音 (3/24放送)



  編集中




 第13話 再び牧場へ (3/31放送)



  編集中




 第14話 悲しい知らせ (4/7放送)



  編集中




 第15話 ユキちゃん (4/14放送)



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 第16話 デルフリ村 (4/21放送)



  編集中




 第17話 二人のお客さま (4/28放送)



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 第18話 離ればなれに (5月5日放送)



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 第19話 フランクフルトへ (5月12日放送)



  編集中




 第20話 新しい生活 (5月19日放送)



  編集中




 第21話 自由に飛びたい (5月26日放送)



  編集中




 第22話 遠いアルム (6月2日放送)



  編集中




 第23話 大騒動 (6月9日放送)



 ミーちゃんが食卓の席でみつかってしまったが、 セバスチャンの気転で屋根裏部屋へ。 翌朝、ミーの朝ごはんを取りに行くと、セバスチャンは、ロッテンに 捨てるように言われていたハイジのお気に入りの帽子を、こっそり残してくれていた。〜 一番高いとまではいかないが、少年から教えてもらった高い教会の塔に、
あれほど見たかった、山も林や森のひとかけらも目に映らなかったことで、
元気なくしょんぼりした足取りで階段を降りるハイジ。ハイジにはめすらしくなく「疲れたの」とおじさんの掛け声に応え、踊り場に腰掛けて肘をつく仕草がなんともかわいい。
子猫をもらって抱いて歩くハイジの隣には、あの少年が。
この少年の帽子、どことなくペーターのそれと似ていますね。 セバスチャンの計らいもあって、屋根裏に寝床を作ってもらった子猫。 翌朝会いに行ったハイジは、ミーちゃんと戯れます。
この時の音楽は決して楽しいものが選ばれていなくて、 ハイジの小さい胸が締め付けられるほどの「寂しさ」「心細さ」そして、 そんな環境でも友達を求め、心から歓迎しようとする ハイジの健気な優しさが滲み出ている場面です。 のちに捨てられることがわかっている私たちから見れば、 全く、心が痛む場面でもありますね。


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 第24話 捨てられたミーちゃん (6月16日放送)



ミーちゃんまで捨てられてしまった〜 クララの言うことさえ聞き入れてもらえない 環境〜打ちのめされたハイジが、白パンで一杯にした赤いスカーフの包みを抱いて、 「さよなら、クララ」と階段からクララの部屋を振り返るハイジ、 切ないですがとってもかわいいですね。 街でまた会った少年に、お金がないと汽車に乗せてもらえない〜という現実を知らされた ハイジは、また行き場を失い、悲しみに暮れるまもなく、ロッテンさんにみつかって 馬車に乗せられてしまいます。 クララに「もう何処にも行かないで、帰らないって言って」と言われ、 帰りたくても帰ろうとしようも、帰ることが出来ない現実にハイジは泣きます。


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 第25話 白パン (6月23日放送)

「わたしの大事なパンよ、触らないで!、おばあさんにあげる大事なパンよ!」 帰りたい気持ち、帰るためのおみやげまでいっぺんに取り上げられてしまった ハイジの絶望。 ベッドにもぐりこんで嗚咽するハイジは、客観的に見ればわがままでごねている子供の姿ですが、どうでしょうか。 こんなハイジに、「お部屋に行きましょう」と慰めるクララ。

この場面が私はとても好きですね。

クララという少女の方の寂しさ(お母さんに死に別れお父さんとも離れて、ずっとずっと一人ぼっちで暮らして来た少女の寂しさがなんとも切ない) そしてその、人には想像もできない程の寂しさの中でも、守って育てて来れた健全な優しさ。見事さに目も心も奪われます。
「わたしも山羊のこと知ってるのよ」こんな機転が利く〜少女ながら早く大人にならざるを得なかったクララの光と影が魅力的に表現されていて素敵です。

話しを始めても泣き止まないハイジに、負けないで話しかけるクララ。
掛け布団の向こうでは、ハイジが顔を覗かせて、話に聞き入っています。 「それからどうしたの?」ハイジの顔をようやく見ることができたクララは、 涙を拭いてお話しを続けます。

厳しい環境に閉じ込められ、寂しさをそれぞれに抱えながらも懸命にお互いを思いやろうとする二人の少女の心と心の交流がなんとも綺麗です。 最も心が締め付けられる、この作品でも重要で素晴らしい設定の場面だと思います。
寂しさだけが付いてまわり、想い通りに行かない人生という重い負担を背負った少女たちがそれでもなお、出会いによって支え合い、お互いの性格を補い合って思いやる気持ちを持ち続けようとする、二人の友情が決して誰かに押し付けられたり用意されたものではないことが証明され象徴されている場面です。

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  編集中




 第26話 ゼーゼマンさんのお帰り (6月30日放送)



クララのお父さまが、仕事先から3ヶ月ぶりにお屋敷に帰って来ます。「お帰りになったそうそう恐縮ですが、そのスイスから来た娘についてお話しが」とせっかちに進言しようとするロッテンマイヤーさんの言葉を、「それは、クララの顔を見てからにしてください」とさえぎり、ゼーゼマンさんは階段を駆け上がります。
「クララー!」この再会の場面は、これから何度も流されるものですが、この回だけは、ドアの横のソファに、かしこまって腰かけているハイジが居ます。 「パパ、わたしの素敵なお友達を紹介するわ!」「やぁ、君がスイスから来た娘さんだね」、ハイジはこのときばかりは神妙になった声で「はい」と発音しますね、「どうだね、二人は仲良くしていたと思ったら喧嘩して、また仲直りしてはじめからやり直し、そうじゃないかね?」と語りかけるゼーゼマンさんに、ハイジは返す言葉がみつからず、握手したままずっと顔を見上げているだけですね。「違うわ〜、お父様、ハイジとわたしは今まで一度だって喧嘩なんてしたことないのよ、ねえ、ハイジ」「どうかね、ハイジ」ハイジの言葉を待つゼーゼマンさんに、ハイジは、「クララはとても優しいわ」と答えます。「よろしい、安心したよー」。
ゼーゼマンさんは、二人にお人形のおみやげを差し出します。「私にも?」「ありがとう、ゼーゼマンさん」礼儀正しいハイジ。
さて、落ち着いて食事をするゼーゼマンさんに、ロッテンマイヤーさんは、ハイジに関しての苦労をくどくどと報告します。「あの子は、わたしの仕打ちへの仕返しに、お屋敷にケダモノを持ち込んだのでございます!」「それに、あの子ときたら、時々妙なことを口走るのです、、、、あの子は気がおかしいのじゃないかと思うことがあるのです」「気がおかしい?」ゼーゼマンさんは食事の手を止めますね。さすがに心配になったゼーゼマンさんは、クララに事の事実を確かめようと、二人だけでお話しをするため、ハイジに退席してもらうために、「ハイジ、そう、アレを持ってきてくれないかね、うーん、水を一杯」「はい、冷たいの??」「そう、できるだけ冷たいのをね!」「はい!」・・・こうしてお屋敷の水があまり冷たくなかったことを知ったハイジは夢中になってしまって、その一杯のお水のために、またお屋敷を無断で出て街に繰り出します。クララが「違うわ、パパ、ハイジの気がおかしいなんて、、、ハイジの頭の中が山のことでいっぱいだから、お勉強にも身が入らないだけなんだわ」と訴え、「クララ、クララはハイジが好きなんだね」と確かめたゼーゼマンさん。しかし、当のハイジの姿が見つからなくなった一堂は、またハイジが無断で居なくなったことにやきもきし、ロッテンマイヤーさんが馬車に乗ろうと階段に近づくと、、、。★
街に出たハイジがみつけた井戸は、お屋敷からかなり離れた建物の横にありました、「冷たーい」おいしいお水がみつかって安心していると、そこに紳士が登場します、「お嬢ちゃん、そのお水を一杯くれないかね」、水で一杯に満たしたコップを大事そうに運んで去っていくハイジに紳士は声をかけます、「ところでお嬢さん、そのお水はどこに持っていくんだね?」「ゼーゼマンさんのところよ」、この紳士はクララのお医者様でしたので、とっても驚き、声を立てて笑います、「あはは、ゼーゼマンさんのお屋敷にはお水がなかったのかね」「いいえ、ゼーゼマンさんは、冷たいお水が飲みたいって言ったの、だから・・・」「あはは、どうかゼーゼマンさんに伝えて、<おいしく水を召し上がれ>とね」・・・大事に大事にコップを運ぶハイジの姿に、馬車は停まるし、街中が静止しますね、もうハイジはコップにしか意識が向いていません、純粋なハイジの姿。
★ようやくお屋敷の階段を上って来たハイジをみつけたゼーゼマンさんたち、クララは「まぁ、ハイジ、あなたお水を汲むのに外に行っていたの?」と声をかけます「そう、行ってたの」、あっけにとられながらも、事情を把握したゼーゼマンさんは、ゴクゴクと水を飲み干し「あぁ、こんなにおいしい水を飲んだのは初めてだよ」と感想を述べます、思い出したハイジは「そうだわ、井戸で水を汲んでいたら、髪の真っ白なおじさんが、ゼーゼマンさんに<おいしく水を召し上がれ>って言ってました」と伝えます。「そのおじさんは、金の鎖のついた時計をしていて、馬の飾りのあるステッキを持っていたわ」「わかった、クララのお医者さんだ」、ハイジの小旅行を微笑ましく受け入れるクララとお父さん。ハイジとお医者さまの出会いでもありますね。
純粋でまっすぐなハイジのこの行動をかわきりに、約10日の滞在期間で、ハイジに全く問題のないこと、そしてクララが何よりハイジを気にっていることを肌で知ったゼーゼマンさんは、「ハイジは引き続きここに置きます」という結論をロッテンマイヤーさんに報告します。「今後もハイジは何かと貴女にご迷惑をおかけすることでしょう、つきましては、貴女のそのご負担を軽くするため、私の母に来てもらうことにしました」・・・母とはクララのおばあさまのことです、気に食わない様子のロッテンマイヤーさんですが、ご主人の決定を受け入れないわけにはいかず、しぶしぶ承知するということとなりました。





 第27話 おばあさま (7月7日放送)

「いらっしゃいませ、さまおく」 ロッテンさんの作ったへんてこな挨拶を、 二人で蹴飛ばしてしまう出会いの場面も素敵です。

そして、この夜、寝床に入ったハイジの部屋をおばあさまが訪ねます。 せっかくの贈り物が読めない本だと告白するハイジに、 おばあさまは、本当に優しい。 涙が出てくる場面です。

おそらく、生まれてからよそへやられてばかりだったハイジにとって、 眠るまで誰かに傍に居てもらい、そして本を読んで聞かせてもらった ことは、これが生まれて初めてのことだったでしょう。 「読んであげるよ、さぁお布団に入って」というおばあさまに、 「うん」と返事をするハイジは本当に嬉しそうでかわいいですね。 ただ、もらったものをもらいっぱなしにしないのがハイジの強さです。 おばあさまがそこまで期待していたかは別として、 ハイジは絵を見ながら覚えたてのあらすじを字に読み取ろうと楽しみ、 いつかペーターのおばあさまに、美しい歌の本を読んで聞かせてあげるのですから。
二人の対照的なおばあさんのつながりが活き活きと私たちの胸に 溢れてくる、美しい一夜の出来事です。 眠りにおちたハイジは、いったいどんな夢を見たのでしょうか。 誰にもわかりませんが、とても言葉では言い表せないほどの光に満ち溢れた光景だった に違いありませんね。
  






 第28話 森へ行こう (7月14日放送)



 「馬の、、、なんだっけかな、そうだ、馬の耳に入ったんだ」 おばあさまに何度も読んでもらい、物語を覚えたハイジは、 とうとう文字を読み上げて、先生を仰天させ、 おばあさまには「それでいいの」と喜んでもらいます。 ご褒美に何をあげようかしら?おばあさまは、ハイジをジャンケン遊びに誘いますが、 ロッテンマイヤーさんにまた叱られたハイジを、今度は魔法のお部屋に案内します。 しかし、ハイジは、そこで壁いっぱいに飾られた、アルプスの夕日の絵を見て、山を思い出して泣いてしまいます。 おばあさまという方は、慰めるだけには終わりません。 クララのためにもハイジのためにも、一番いい方法を思いつき、小躍りするおばあさまは、本当にチャーミング。 森に行こうよ〜という提案を、泣き腫らした目で聞くうちに、目を輝かせて大喜びする ハイジの表情に、なんとも悲しい憂いが見られ、 また痛々しく胸が苦しくなる場面ですね。 ロッテンさんの大反対を押し切って、出かけた3人は、馬車に揺られ 街外れから、どんどん離れて行きます。 まともに太陽を浴びるのさえ初めてのクララに、 ハイジは優しく寄り添います〜車椅子を押しながら、花とクララをみつめる ハイジの姿は、小さい看護士さんのようです。 ヒバリが空高く自由に飛び回る姿に、二人の新しい世界の広がりを暗示させる 文字通り、とても明るい場面です。 森に入る時の音楽の盛り上がりの素晴らしさ、 一瞬でも自然に帰ることができたハイジの身体中から 溢れる開放感。見ている私たちの心も躍るそんな一話です。




 第29話 ふたつのこころ (7月21日放送)



題名がとても素敵です。 私のお気に入りの一話でもあります。 「ハイジは、クララをかわいそうだと思いました」 というナレーションはときどき挿入されていますが、 ハイジの物語の素晴らしさは、ただ単に同情したり卑下する クララを批判的に見るように仕上がってはいない点です。 ハイジは、不必要な「教育的」な態度からは、本当に無縁な世界の手法で、 クララに接していきます、それも全く自然な態度で。 そこが、ハイジとクララの純真な共通点でも現されているのですが、 森での喧嘩と仲直りの場面にも、そんな暖かい目線が匂っているように思います。 偏った「教育的」な導きとは無縁なのは、おばあさまも同じ。 この3人の相性の良さを、この一話は完全に結実に向かっていく 予感を持たせています。 「牧場だ!」ハイジの顔は、決して輝かしいものではありませんが、ひとたび山羊の姿を見れば、 ハイジは山の子に戻れるのです。 パクパクと食べている、あのおやつのバームクーヘンは、 本当においしそう。「病気なんか逃げ出してしまうんだよ」 おばあさまは確信して言っていますね。 日に当たって熱を出してしまったクララのところに 駆け込むと、ロッテンさんがまくしたてているのが ハイジに聴こえてきます。 「わたしが悪いの?わたしのせいなの?クララは 病気になっちゃうの?」 駆けつけたお医者様に、ハイジは訴えます。 この時のハイジの涙は、本当に綺麗です、こんな 美しい透き通った涙はほかにはありません。 ハイジの目が潤んでいるのは、どうしてなのでしょうか。 「わたしが一人で遊んじゃったから」「先生、助けてください、クララを、、、」 ・・・・・・・

ドアの前で立ちすくむハイジ。私はこの場面の展開に、 心から感動しました。 人を心配して、心を痛めている子どもの心が、 こういったドアの前に立ち竦んだまま、放置されることの多いのが 世の中の常です。 しかし、おばあさまが、しっかりとハイジを抱きしめて 言葉をかけてくれるのです。 子どもはなんでも小さな自分のせいだと思いがちなものです。 でも、その小さな痛みを半分にしたり軽くしたりできるのが、 大人の仕事ではないでしょうか。 このドラマでは、それを(たとえ儚い「理想」だとしても) 実現して見せていることに、意義があると思います。 「心細いの、ハイジ、ずっと私のそばに居て」と懇願するクララも、 決してわがままなだけではありません、 ハイジの心がクララに通じているからこそ、ですね。 「教育的」でいる必要のないハイジというキャラクターが、 自分の立場を投げ打つことの意味を知ることに引き換えて、クララのか細い心と身体に寄り添って堅く心に誓わせるのです。 「そのとき、ハイジは山のこともおじいさんのことも、みんな忘れていました」 ナレーションが聞いた人の大人の心と子どもの気持ちに響き、沁み渡りますね。






 第30話 お陽さまをつかまえたい (7/28日放送)

おはなしのタイトル文字に色がつくのは、「森へ行こう」 の青 と、この「お陽さまをつかまえたい」 の赤 の 二つです。
クララがなんとか助かるのだとお医者さまから聞いたハイジは、おばあさまと安心して看病に励んでいます。 字を読むことを覚えたてのハイジとおばあさまは、赤ずきんの指人形でクララにお芝居を見せます。 「トントントン。おばあさん、お加減いかがですか、それがとても悪いんだよ」 クララの病気と重なったからか、ハイジはおおかみの台詞に勢い余って食い込んでしまいます。 おおかみに食べられそうになると、幕からはみ出して逃げてしまいます。 「あら、このおおかみ、ずいぶん可哀想な服着てるのね」さすがお嬢様のクララの目のつけどころは 違います。「いいわ、あたし作る、作ってみたいのぉ」「あたしね、おじいさんにお裁縫習ったの」
ハイジは、おおかみのおなかを丸く切り取り、鮮やかなピンクの布を縫い付けると、今度は尻尾をテーブルクロスごと 縫ってしまい「あらぁ、すっごいしっぽになっちゃった」と笑います。

お昼寝の前に、いつもの苦いお薬を嫌がるクララを見て、ハイジは果敢にも「あたしお医者さまのところに行ってみたいの」とヨハンの馬車で出かけます。 ハイジという子はキャァと奇声をあげない子ですね、骸骨の標本を見上げても、声をあげません。「ああ、これかー」とドクターは笑います。 そして、ハイジは、甘いお薬をたくさん飲むよりもお日様の光に当たることが、花や樹の実りを促すのと同じように、人間にも大切なことなのだというお話しに、しっかりと耳を傾け、帰宅途中の馬車の上でお薬を抱きながら、 言葉をかみしめています。表情は真剣そのものですね。 ただものじゃないハイジの情熱が、稲光りのように発酵するときです。 「そうだ、お日様の光を持ってってあげればいいんだ!」「・・・お日様ですと?」ヨハンの驚きは最もで、一般人の私たち観客の代表として言葉がついて出て来たのです。 なんとも実体のない、光りを持ち帰ろうという発想に、 いいことをまた思いついたと思うまもなく、ハイジは身をよじってヨハンをなだめすかし森に向かいます。(追記:馬車がUターンして引き返すショットは、とても素敵ですね、小さな胸から発想された強い思いが、大人のヨハンをも動かし、そして馬車をも動かしていくのです)
それでもまだハイジは、まだどうやったらお日様の光を持って帰れるか、アイデアを持っているわけでは ありません。
花を摘んでいると、なんと、森で出会った男の子たちとまた会い、「綺麗な花のあるところ」へ案内してもらいます、この時ハイジが駆けている時の身体の傾け方と必死な目の輝きと姿は、少しユーモラスですね。斜めに傾くように池のほとりに着くと、黄色いアイリスが一面に咲き乱れていました。 なー綺麗だろーと、男の子も得意げです。 ハイジがキュートな女の子だったことはとても良くわかります。 「このあいだ、欲しがってただろ」男の子たちは、またもや気を利かせて、蝶々をたっくさん獲って来て、自分のシャツに入れて持って来てくれます。 池のほとりに、浮かぶ古い駕篭を覗いたハイジの顔が、光り輝く太陽の眩しいきらめきにゆらゆら揺れます。 どんなにか、ハイジは嬉しかったことでしょう。 お日様が駕篭の中で光ってくれているのですから、あとはこれを持ってクララに見せてあげればいいのです。 おばさんにちゃんと断って駕篭をもらったハイジと少年たちは、蝶々を板で被せて、お見舞いの素敵な駕篭盛りの出来上がりです。
この時ハイジはいつもの「わーーい」ではなく日本語の「ばんざーい」と発声します、聞いてみたいですね、スイスの少女の本物のばんざいを。

もう夕方になってしまったので、ロッテンマイヤーさんのイライラがセバスチャンたちお屋敷中に伝染してピリピリしています。 いつものように時間のことなど全く意に介していないハイジは、駕篭を階段から運んでもらい、蝶々が逃げないことだけに夢中になっています。 「ええ、気をつけましょう、蛙だったら、わたしも大好きとは言えないし」「か、か、かえる〜↑」とロッテンさんを 面白ろがってからかうおばあさまとハイジは、クララと一緒に駕篭の蓋を開けます。
キランキラン!ラララララララララーん!♪ 色とりどりの蝶々が、部屋の窓から羽ばたいて行ったところでショーが終わると、 「ブラボー!ブラボー」の声が上がります。
「ねぇ、また森へ行きましょう、だから早く元気になってね、クララ」。





 第31話 さようならおばあさま (8月4日放送)



クララの熱も冷め、回復に向かったのを知り、おばあさまは、そろそろ別荘に帰ることになります。ロッテンマイヤーさんの売り言葉を買ってしまったおばあさまは、うっかり「あとしばらくなんですから、子どもたちと遊ばせてくださいな」と言ってしまいます。お帰りの時期が近づいたことに気づいたクララ、お仕事のためだから、受け入れるしかないと言うクララの言葉に、ハイジは納得できず「わたしはおばあさまが帰ってしまうなんて、いや!あきらめちゃだめよ、」とおばあさまに直談判しに部屋をたずねます。
荷物の整理をしているおばあさまをみつめて、ハイジは言葉を失い目にいっぱい涙が溢れてきます、「おばあさま!行っちゃやだぁ!!」おばあさまに抱きついて気持ちをぶつけます。素直な態度に胸打たれながらも、おばあさまは「人間ってね、楽しいときがあっても、いつか別れねばならないときがあるものなの」とやさしく諭します。「もう会えないってわけじゃないんだから」「また来てくださる?」「ええ、そうね、ハイジが私のあげた本をすらすらと読めるようになった頃、また必ず来るわ」ハイジはこのおばあさまのお約束を胸に留めます。そして部屋に戻ると、一日も早くまたおばあさまに来て欲しい一心で、さっそく本を一生懸命読み返します、そしてそんなハイジの真摯な姿に、クララも心打たれるのでした。

  




 第32話 あらしの夜 (8月11日放送)



  編集中




 第33話 ゆうれい騒動 (8月18日放送)

子どものときには、あらすじは知っていたものの、 実際に幽霊が出るなんて〜と、なんとも奇妙で物騒な印象を受けたタイトルだと記憶していました。 そして、主人公が夢遊病となって夢を見たまま起きた状態であちこち動き回ってしまう〜 という症状を、人々の台詞や舞台展開でソフトにカバーするのに成功しているのが、このお話しです。
「またもや見たのでございますー」ロッテンさんにも怖いものがあったようで、 お嬢様のご要望通り、さっそくゼーゼマンさんのお帰りです。 挨拶に会ったハイジは、見るに耐えない顔つきで頬の赤みも消えています。 お医者さまも呼んで、待ち伏せた二人は、鍵の開いた正面のドアの外に裸足で立ちすくむ 見慣れた少女の姿をろうそくの灯りの中にはっきりと見ます。 「ここは私の領分のようだな」お医者様は痩せたハイジの身体を優しく抱き上げると、 部屋のベッドに寝かせてくれます。 この時ばかりは、いつもの元気なハイジではもはやありません。
「ここのところが重い石で押さえられているようなの、ひどく泣きたくなるの」 泣くな、と命令されて声も出せなかった少女の哀れさ。 帰りたいかねと聞かれても、「クララのためには居なきゃいけないの」と訴えます。 お医者様は「思い切り泣いてゆっくりおやすみ」と言ってくれました、堪えていたものが堰を切ったようにハイジは枕を涙で濡らします。
さすがに、このままではもっと重い病気になってしまうのだ、という説明を受けたクララは、ようやく「来年の春には アルムの山へ、私がハイジに会いに行くわ」と提案し、今までのわがままだけではなく、自分の気持ちを納得させるためにお父さまと自分自身に約束を決めるのでした。 ゼーゼマンさんから「今日、ハイジは山へ帰るんだ」と言われてもきょとんとしたまま半信半疑だったハイジは、 クララを一人にはしないよ、ご褒美に帰っていいんだ、クララもきっとわかってくれる 〜という説明に、ようやく小さい細くなった首を縦に振るのでした。
クララの用意してくれたおみやげのバスケット。そこには丸いふっくらとした白パンがぎっしり 入っています、「わーおばあさんにあげる白パンだー!」
思えば、ハイジの都会修業のきっかけでもあり大きな豊かな成果でもあるのが、 おばあさんへの白パンの贈り物とおばあさんの喜ぶ顔を見ることでしたから・・・。
パンのほかにも、女の子らしくお裁縫箱を開けるハイジ、この時のハイジの手の仕草が私は とっても好きですね、パチンとスナップをはずす、あの音、女性ならわかると思います。 立派なドレスを着込んだハイジに、クララは帽子も贈ってくれますが、 ハイジにはとっておきのお気に入りのおじいさんの帽子があります。 さて、馬車が出発するとき「必ずおじいさんに渡すんだよ」と、 ゼーゼマンさんはハイジに手紙を渡し、ハイジはきちんと「お医者様にありがとうと言ってください」 と別れの言葉を締めます。 大きく手を振り、大粒の涙を流してハイジを見送るクララの胸中とは裏腹に、 ハイジの胸には、もう、すぐそこにアルムの山々の自然と懐かしい人々の 顔が見えてくるように浮かび、心弾んでいくのでした。
出発の朝、ハイジのほっぺたに丸い赤みが復活します、ほっとします、よかったね、ハイジ。


  







 第34話 なつかしの山へ (8月25日放送)

この回では、 フランクフルトを発ったハイジが、おじいさんと再会するまでを、ゆっくりとじっくりと 描いています。
「お嬢さま、そんなに急がなくても大丈夫ですよ」付き添いのセバスチャンは何度こう言った でしょう。 汽車の席に落ち着いたハイジは、バスケットを膝の上に大事そうに抱き、 「わー、動いた、動いたわ」とはしゃぎます。 そして、走り去る景色を追いながら、フランクフルトに別れを告げます。 「さよなら、フランクフルト、さよなら、蝶々の森・・・」
「ねぇ、あとどのくらい?」ハイジは眠る間も取らず、訊ねます。 ようやく汽車を乗り継いで日付が変わると、うとうとし始めたハイジに、セバスチャンが 声をかけます、「お嬢さま、マイエンフェルトは、三つ目ですよ」
さぁ、目を覚ましたハイジの目に、山の眺めが待ち構えていました。 「山よ!山よ、山よ」ハイジの目頭はどんなに熱く燃えたことでしょう。 石や壁はどこにも見えず、山羊や牛の放牧、小道、赤い屋根、その向こうにどっしりと 裾野を広げたアルム。 マイエンフェルトの駅に降り立ったハイジは、本当に久しぶりに思い切り空気を吸い込み、 「山のにおいよ!」と踊ります。 マイエンフェルトからの坂道を駆け上っていると、ちょうどパン屋さんの荷馬車が通りかかりますね、 「そうだ、思い出したぞ、あんたはおんじんとこの、え〜っと」「ハイジよ!」 そう、パン屋さんはいつぞやパンとチーズの取引きで喧嘩をしたおんじのことを言及します。 「おじいさんは、とってもいい人よ、ねえ、おじさん」 デルフリ村の教会の屋根が見えてくると、袋荷物の上でまたハイジは喜んで踊ります。 「わー、村の泉、ちっとも変わってないわ」 「おじさん、そのカバン預かってくれない?」 喧嘩別れしたままのパン屋さんは困りますが、おんじと最も多く接して来た気のいいおじさんのことです から、快諾してトランクを預かってくれますね。 そそくさとセバスチャンに「わたし、ひとりで帰れるわ」と別れのときを急かします。 フランクフルトで最も身近に気のきいた世話をしてくれていたセバスチャンは、言います。 「お嬢さま、またいつでも戻って来てくださいよ」 そう、人に仕えて気の利く召使いの仕事のプロですから、そう言われると寂しいのだと 思いますが、手を振るハイジに「お元気で」と声をかけます。 ハイジははっきりと、そしてすがすがしい面持ちで言いきります。 「ありがとう、でも、山がいやになんて、決して、けっしてならないわ・・・」

このときのハイジのいでたちもなかなか可愛くて決まっています。 クリーム色の靴と同じ色の帽子に、裾に白いラインの入った紺のドレス。 10歳の少女のおめかしの恰好は、たった二日で終わりますね。 「蓋は開かなかったわ」大事なバスケットを腕に回し、ハイジはうさぎと追いかけっこ。 すると、そこにペーターの家が見えました。
「おば・・・」 いつものように、そう、いつもそうしていたように、 ハイジはドアを勢いよく開けると、息を飲んでしまいますが、 そこには、おばあさんの糸を紡ぐ音が静かにリズミカルに流れています。 ハイジがおばあさんの姿を、そーっとみつめます。 「ハイジもいつもそうやって飛び込んで来たものだが」 おばあさん、そのハイジがここに居るのです。 「おばあさん!わたしよ、ハイジよ!」 目の見えないおばあさんは声を聞いても信じられないので、 ハイジの身体を手に触れて確かめようとします。 いつもの木綿の服とは違うし、帽子も違うので、 ハイジは、おしゃれな帽子を取り、おばあさんは、ハイジの髪を撫でます。 「これは、ハイジの髪だ、本当にハイジなんだね」 「おばあさん!」「おお、神さま・・・」おばあさんは目を涙で濡らします。 「泣かないで、ちゃんと戻って来たんだから。もうよそへは行かないわ」
そうして、ハイジは、おみやげの白パンをおばあさんにそっと渡します。 「おばあさん、わかる?白パンよ」 遠く山を離れて暮らさなければならなかったこれまでのハイジの苦悩、ハイジの悲しみ、辛さ。 全て、こうして白パンをおばあさんに食べて欲しかったから、生まれた道のりだったのです。 おばあさんが白いやわらかなパンをちぎり、おいしそうにおいしそうに食べます。 それをハイジは真剣なまなざしで黙って見守っています。 真剣な顔、そして美しい顔、ハイジの瞳は、勲章をもらった以上に讃えても讃えきれない 偉大な功績に輝いているのですが、当の本人は、そんなことをちっとも考えていません。 「ハイジや、お前が毎日この山に居てくれることが、何よりも嬉しいんだよ」 驚くブリギッテに服も帽子も「もういらないの!」とあげてしまうと、 ハイジはお気に入りの帽子をちょこんと被り、靴も脱いで、 「わたし、この恰好で山に帰るわ!」
いよいよおじいさんの待つ山の上を目指します。 ハイジはただただ「おじいさーん!」と言います。 その声に喜びいさんで飛びつくヨーゼフ、ヨーゼフと転げ回るハイジを目にして、 信じられないで驚くおじいさん。
・・・・・・・・・・・・
ハイジは、とうとう、夢に見たアルムの小屋の前で、暖かいおじいさんの懐に抱かれるのでした。

  




 第35話 アルムの星空 (9/1日放送)

おじいさんに飛びついたハイジ、抱きとめたおじいさん。 おじいさんと大きな声で叫ぶことが出来たハイジ。おじいさんの胸の中で涙で膿を 洗い落としたハイジに、おじいさんはまだあっけにとられて状況を確かめますね。 「帰って来たのよ」「お前、どうしたのだ、追い出されて来たのか、逃げ出して来たのか」 ことの事情を本人が一番わかっていないのですが、おみやげの煙草を渡したハイジ、 「あー、喉が渇いたわ」さっそく樅の木の下に駆け出して、水受けであらためて冷たいおいしい水を飲みます。 顔を洗ってハイジは気がつきます。
そう、心のひだをやわらかに、さやさやと風とともに揺らして聴こえてくるのは、 大好きだった樅の木の歌。本物の樅の木の音に包まれ、ハイジの顔が、顔いっぱいに広がりますね、この顔を見せてもらうと、 毎回こちらもニコニコして気持ちが爽やかに濁りを消し去られ潤って来ます。 「わー!」
「しかしお前、その恰好で帰って来たのか」「ううん、ペーターんとこで脱いで来ちゃったの、 すっごいドレスだったの、とてもこんな風に駆け回れないわ」 「そーか、そーか」「お前がここにやって来たときもその恰好だったな」 ハイジはおじいさんにまとわり着きながら、懐かしの小屋の戸を開けます。 「何んにも変わってないわ」 おじいさんは、ハイジの服だけは処分できなかったのでしょう、さっそくハイジに これを着なさい〜と嬉しそうに着物を渡しますが、 ハイジは「小さくなって入んないわ、あたし大きくなったのよー」「入らないのか」 おじいさんと二人で笑います。 パン屋さんにかばんを預けたことを告げ、おじいさんはあとで取って来ようと言います。 「あたし、ベッド見てくるー」
しかし、屋根裏にはあの愛した干草のベッドの影がひっそりとなくなっていました。 「ないわー、あたしのベッドがないわー」 「お前が、デーテや町を好きになって山のことを忘れてしまうなんて、とても 信じられなかった、これも本当のことなんだよ」
二人で、また真新しい干草でベッドを作ります〜このシーンが私はとっても好きです。 草にからまるお日さまの匂いが、こちらまでプーンと漂って来るようですね。 「これ、あたしのベッドよね。ここ、あたしのうちよね・・・」 ハイジは嬉しくて感激でいっぱいになって、ベッドに腰掛けて屋根裏の窓から、夕暮れの 日の光りを浴びます。すると、今度はそう、ペーターの口笛が聞こえてきます。 外に駆け出したハイジは、思いっきり口笛で応えます、もう穴倉のようなカーテンに 囲まれたお屋敷の部屋でひっそりと吹くんではなく、 轟くこだまと競争できるくらい思いっきり口笛を響かせてもいいんです。 ペーターは、声も出さずに驚いて固まっています。 「ねえ、ペーター、ただいまって言ってるのに」「だって、あるであのときみたいだ」 山羊の仲間と挨拶を交わして、大喜びのペーターと手を組んでぴょんぴょん飛び回ります。 ハイジが追いかけた仔山羊は、「それはユキの子どもだよ」 大きくなってお母さんになったユキと再会できたのです。このとき、ハイジが、やはり一定の 期間、山を離れていたその時間の流れを感じることができます。





 第36話 そして牧場へ (9/8放送)



おじいさんの小屋にやっと帰って来たハイジ。
その朝の寝覚めは、(ハイジは元々、朝寝坊しやすく寝ぼけてしまうタイプだったので(お母さんの夢遊病歴、ハイジ自身の睡眠障害の名残りですね)、この日、長い長い夢から覚め新しい朝に起床したハイジにとっては、)干草と天井、そして丸い窓に目をやりつつ、全く新しい時代のはじまりのように、しかも爽やかに迎えられます。
外では、ハイジと山に上れる楽しみに浮かれいつもよりうんと早く山に姿を見せた活き活きとしたペーターと、ハイジを思いやるおんじのやりとりが聞えています。「ハイジは?」「まだ寝てるよ、昨日帰ったばかりだから、そっとしておいておやり」 「いくら鳴いても、今日はハイジは行かないんだってさー」「おいおい、山羊に八つ当たりしちゃーいかんなぁ」
駆けて来たハイジを見て、喜びの声を上げてくれたペーターとともに、お弁当を用意してくれたおんじに見送られ、ハイジは懐かしい山に再び登って行きます。すっかり楽しくなってしまっている二人は、お花畑で雲と花を交換し、ペーターはハイジに、花々のシャワーをプレゼントします。「ハイジが帰って来たお祝いだーそ〜れー!」喜んで山について来たヨーゼフも、このときひょっこり顔をのぞかせています。





 第37話 山羊のあかちゃん (9/15放送)



その朝、ハイジはぱっちり目を覚ますと、山羊のシロの赤ん坊が生まれちゃったかしら?と起き上がります。山羊小屋に駆けていくと、今日はまだ産まれそうにもないと聞かされ、がっかりしてしまいます。そしてペーターが、おんじへの手紙を預かって来た、というと、それはおんじにではなく、ハイジに届いたものだとわかります。「フランクフルト、ゼーゼマン、クララ、クララからの手紙だわー!」喜んで飛び上がっているハイジに、おんじもペーターもぽかんとした顔です。「ハイジ、字が読めるの?」、、、そう、ここで初めて





 第38話 新しい家で (9月22日放送)



  編集中




 第39話  がんばれペーター (9月29日放送)

  

  編集中




 第40話  アルムへ行きたい (10月6日放送)



  編集中




 第41話  お医者さまの約束 (10月13日放送)



  編集中




 第42話  クララとの再会 (10/20放送)



  編集中




 第43話  クララの願い (10/27放送)



  編集中




 第44話  小さな計画 (11/3放送)



  編集中




 第45話  山の子たち (11/10放送)





  



  編集中




 第46話  クララのしあわせ (11/17放送)



  編集中




 第47話  こんにちわおばあさま (11/24放送)



  編集中



第48話  小さな希望 (12/1放送)



  編集中




第49話  ひとつの誓い (12/8放送)

山の上の湖のほとりをおばあさまと訪ねたクララは、その素晴らしい眺めに圧倒されますが、感動の中「自分の足で歩いて上れたらどんなにいいだろう」と思います。



  編集中




第50話  立ってごらん (12/15放送)


ハイジより先に目覚めたクララが、丸窓に訪れた新しい朝を眺めています。 ラガーツの温泉でいい知らせを待つことにしたおばあさまのこと、今日から始まる練習のことを思い、不安なクララです、 ハイジは、勢いにまかせて無理に立たせようとしますが、うまく支え切れずに倒してしまいます。 おじいさんは二人の話をよく聞いて、いきなり立つことではなく、少しづつ筋肉に動くことを覚えさせていくことからだ〜と諭します。ハイジは「もう立てるはずなんでしょ」といかにも不満げな顔をしますね。
さて、練習が始まり、おじいさんの指導を受けたハイジが汗だくになってクララの左右の脚を上下に動かす運動をします。 消極的なままのクララでしたが「一度自分で持ち上げてみない?」というハイジの誘いに一生懸命気張り、 「ハイジ見てて」と右足をほんの少し持ち上げることができます、クララにとっては生まれて初めての経験です。ハイジとペーターの応援を受け、それからクララは毎日毎日練習に励みますが、始めた頃のようなうまくいった感覚が薄くなって行く焦りを感じています。そんな時、ペーターがいつものように朝渡すのを忘れてしまって山の上から来たおばあさまからの手紙を、ハイジはクララを励ましたいがために読みあげると、
クララは「もういやだわ、皆んなが立て立てって言って、立てない私が悪いみたい、わたし、フランクフルトに帰るわ」と泣き出してしまいます。 一生懸命、クララを励ましていたハイジとペーターでしたが、この時になってなかなかクララの辛い気持ちにまで手が届かず戸惑っています。 すると、おじいさんが「皆んな、せっかちなんだ、おばあさまも」と声をかけます。しかし素直になれないでドイツに帰ると言い出すクララを、おじいさんはそっと抱いて、山小屋を背に草原の上にゆっくり座らせて言います。
「お前は本当にフランクフルトに帰りたいのか。いいや、クララはそんな弱虫じゃーない、クララは歩きたいんだ、歩きたいからこそ、思うようにいかなくて怒ったり泣いたりするんだ」。
この時のおんじは本当に優しい看護士のようです。〜それもそのはず、おじいさんには、若いとき戦争で負傷した兵士の看護にあたった経験があり、その実体験が、クララへ恩返し(ハイジという宝ものを授かったことへの〜)をしようとさせる深い強い動機となって横たわって在るのです。
おじいさんの暖かい言葉をかみしめた少女クララは「心配かけてすみません、わたしがんばります」と健気に涙を拭き顔をあげます。 「偉いぞ、クララ」
「ほら、あんなに夕陽が綺麗じゃないか」・・・この時の夕陽がどんなにか綺麗だったのか、私は見たいものだと強く想います。クララとおじいさんの後姿は、太陽の撒く光りと自然の神様の愛情を真正面に受け、眩しい眩しい輝きを反射して美しいですね。

少女クララの小さな勇気を、どうにか結実させてあげたいと願うおじいさんは、水受けを直してバターを譲り受けたり、わざわざ高い岩を登って薬草を探しに行ったりします。 ほかの仲間の山羊たちもみんな大好きな、その匂いの強い草を家族の山羊(シロにクマ)に与え、「明日の乳搾りが楽しみだな」「礼ならシロに言うんだな」と言うおじいさんの想い、その想いにクララは言葉にできない大きな優しさを見い出し、感謝の気持ちを胸いっぱいに抱きとめながら言葉の出ない表情を表すのでした。この時のクララの台詞「こんなにまでしていただいて」・・・こんな大人っぽい礼辞が少女のものかと思いますが、おじいさんとクララの深い深い信頼関係がここで確立し、やがて本当の大人になるであろうクララの将来に、凛と自立した明るい面差しを差し込むように見える素敵な場面です。





   ちょっとbreak-time 

   おんじが、山の崖を上り、
   クララのために採って来た匂いのいい草(薬草=ハーブ)
    「セキチクにタチジャコウソウか、
     お前たちのいい香りがずっと下まで
     漂って来たよ・・・」

   せきちく:石竹
        〜和名をカラナデシコ(唐撫子)といいます。
        これに対して、あの大和撫子は、
        別名をカワラナデシコ(河原撫子)といい、
        秋の七草のひとつとして有名で、
        いすれもナデシコ科です。

   たちじゃこうそう:立ち麝香草
            〜これは、一般的なシソ科に分類される
            あの「タイム」のことです。
            痛み止め、咳止め、駆風、虫下しなどの効能が
            あるとされていますが,今ではソースなどの香料
           として主に利用されていますね。

   <参考、および引用:「植物園へようこそ!」>











 第51話  クララが歩いた (12/22放送)




  編集中




 第52話  また会う日まで (12月29日放送)



  編集中



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